最近読んだ一冊。
物語の中で眠れぬ老いた男が物語を語りはじめ、ちょっとした話がいつの間にか
背筋がぞっとするような物語になっている「闇の中の男」。
村上春樹「ねじまき鳥クロニクル」のように、様々な話の
連続で、ぐっと練られた物語を味わうことができる作りです。
暗闇の中で語り始められる物語だからか、書きはじめられた年としては
9.11よりも前ではありますが、
「突然世界が様変わりする」不条理さが世相に重ねて見られることもしばしば。
先日、G◎ogleに対して「私は監視されている」として、火炎瓶を投げたニュースがありましたが、『本当に監視されている』のではないだろうか…、と、私は思ってしまった節があります。
私たちもいつか目覚めたら、全くちがう世界に来ているのではというような
奇妙な気持ちになり、自分の感覚器官が
もう一つパッと開いたような気持になれる一冊です。
最近のメモ
- 私は死んでも死を恐れていると思う
家庭の詩 石垣りん ワーグワース「私たちは7人」 死への恐れ - 展示で使わなかった小割で棚を作りました。
- 人災について。 石田衣良の『傷つきやすくなった世界で』のエッセイのように「多数のその他への信頼を揺るがせない力」を持てるだろか。安全への配慮を一切怠らない人をたくさん知っている。当然、「みんなそうなる可能性がある」と考えること、もっとシュミレーションすることを再確認したいが、そのことと共に、「みんなずさんなんだ」みたいな言動に惑わされたくない