82kimjiwon

「82年生まれ、キム・ジヨン」

82年生まれ、キム・ジヨン (単行本)

82年生まれ、キム・ジヨン (単行本)

冒頭から15分で、わっと泣き出してしまいそうになった。

幼少〜小学生

小さいころから、自分でも気づかない間に、女性は当たり前に、小さくいろいろなものを損なわれている。

それが当たり前で、みんなそうで、あの頃はみんなそうだったから。

周りの男性は、ひどい時もあるが、基本は寄り添ってくれて、間違えて怒った先生も、「気づかずに怒ってすまない、なにかしてほしいことはあるか」と優しく言ってくれて、心がほどけるのだが、追い打ちをかけるように、「でもあいつはお前が好きなんだよ」と、こちらでは理解できないことを言う。

なぜ、精神的に未熟な男の子のために、女の子は損なわれなければいけないのかを、ずっと諦めていたのかもしれないけど、いくつになっても、未熟さによって、誰かが損なわれるべきではないと、本当に思った。何歳になっても、問題は複雑さを極めていくだけで、ジェンダーイコールについてを、みんな、小説の中ではじっと聞けるのかもしれない。少なくとも、この本が「売れてる」ということが、これから、大きな力になっていきそうに思う。 

就活

出てくる誰もが優しくて報われない

女性やなんらかの弱い立場にたつ人であれば、必ず感じたことのある矛盾と悔しさのエピソードに溢れているのに、直接的にえぐるというよりは、やわらかい眼差しで整理していく。
出てくる(男性含め)登場人物は、主人公に意地悪なわけじゃない。嫌な人はいない。だけど、ガラスの天井と、出口のない迷路にぽつんと取り残される。ジェンダーイコールの問題は、マジョリティv.s.マイノリティではない。敵は、どうしようもない「慣習」であり、慣習は私たちのアイデンティティに深く結びついている為、本当に事態は複雑なのだと思う。

ラスト

後味を悪くするのは、本当に「正しい」と思った。

全体的に

読んでいる間中、ほんとうに胸がつまる思いで、そうだそうだそうなんだよ、と思いつつ、小説の語りの「カタルシス」に救われる思いもあった。

あと、私の夫は「家事を手伝う」とは絶対に言わない。こういう、「これを言うと他人が損なわれてしまう言葉」も学べるので便利。彼も、「手伝う」と言ってはいけない理由を、私に出会う前に学んだのだと思うので、かなり意識的に、言わないし、言っている人をたしなめるが、知らなければ、または、そのようなものを深く理解していなければ、言ってしまうと思う。

私自身、知らぬまま、誰かを損なうことがあると思う。私はたまたま女性に生まれただけで、きっと、もっと違う人たちを傷つけてしまっているのではないか、私は、本当に初心にかえらなければならないと思う。

(電車の中で、「そんな腹になるまで地下鉄に乗って働くような人が、何で子どもなんか産むのさ」と言った女の子は、形を変えた私だと思う、そういうことを本当に思っているわけじゃないんだけど、そういう権化になってしまう恐れを、私は抱えている、そうさせたのは、様々な仕組みだということは理解しているけど、まだ、逃げきれていない。)

20190126ikokunikki

違国日記(1)【期間限定 試し読み増量版】 (FEEL COMICS swing)

違国日記(1)【期間限定 試し読み増量版】 (FEEL COMICS swing)

 違国日記、いいです!全ての、「誰かと一緒に暮らす人」におすすめ。

一応言っておくと、「異国」は全く関係ないです。最初「異国ルポルタージュか??」と思って開いたけど、いわゆる「疑似家族もの」あるいは「ある日突然親になる系」です。年の離れた親戚の女性二人の共同生活です。まったく価値観が異なるので、「違う国の女王ふたり」になるわけです。日常で感じる、「あ、このひとは違う国の人だ」・・・という心のざわつきを上手に描き、かつ、救いがあるので読後感はさわやか。

こういう「疑似家族もの」のセオリーだと養子になったりするのですが、まきおちゃんは未成年後継人であるにとどまります。彼女はマンションも買って自分の城を作り、人生で子どもと接点のない、自分だけの国を作り上げた女性です。そんな彼女が愛する「ひとりでいること」の中に、たくさんノイズが入ってくる、揺さぶられていくのは、単純にいい話だとも割り切れず、こころがキュっとなります。「ひとりで生きていくことをえらぶ」は、別に悪いことじゃない、彼女が自分の意思で選んだことだから。たぶん、引き取る前は、何よりもひとりでいることを優先にしていたのではないでしょうか。そういう、人生の最優先事項を、自分の勢い(というより、倫理観)で朝(登場人物の名前)を引き入れることによって、一番の優先事項にはなかなかできなくなっていくという事実も、この作品を読み応えがあるものにしています。

「一人一人の感じ方はそれぞれであり、それに干渉されることはない。」といったような、初期に出てきてなんども繰り返される言葉も素晴らしい。だけど、一緒に暮らしていくとなると…など、言葉がしみるし、その言葉が生活に染み渡っているように感じる作品です。個人的には、姉はまきおちゃんのことが好きでしょうがなかったんだけど、陽キャ故にねじ曲がって伝わっちゃったんじゃないかなあ。そして、朝の「今日のごはん」が、地に足がついていて、試行錯誤していて、いい。生活を愛する人という感じがする。

何回か読み直しているのですが、ヤマシタトモコさんという人は、とてもたくさん作品を作っている。めまいがするくらい。こんなにたくさん描いてきたら、こんなにも深く美しい作品を作ることができるのか・・・と思うと感極まった。私も描いていこう。

試し読み版

違国日記(1)【期間限定 試し読み増量版】 (FEEL COMICS swing)

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違国日記(1) (FEEL COMICS swing)

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違国日記 2 (フィールコミックスFCswing)

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違国日記 3 (フィールコミックスFCswing)

違国日記 3 (フィールコミックスFCswing)

book_20190108

菜食主義者

菜食主義者 (新しい韓国の文学 1)

菜食主義者 (新しい韓国の文学 1)

recommend by jeongina おすすめにはいろんなタイプがあるとおもっていて、例えば、優しい気持ちになってほしいとか、自分がこの本を読んで変化したから読んで欲しいとか。その中で、彼女が勧めてくれたのは、私の作品を彷彿とさせる小説だった。あとがきに書かれた作品のメモ書きにも、「慰めや情け容赦もなく、引き裂かれたまま最後まで、目を見開いて底まで降りていきたかった・もうここからは、違う方向に進みたい。」と書かれてあり、私も白痴や業をテーマにするとき、底までおりていく感覚がある。惜しむらくは、最初の短編では、ヨンへは精神異常者というよりも、夢を恐れつつも自分の中に秩序を見出そうとする、主観的には正常な人間であるのに対して、他の短編では、はっきりと精神異常者として描かれてている点。ただ、そうやって狂ってしまった人をとりまく人々からの目線が、義兄と姉でガラリと変わるし、文章の持つ湿度やテクスチャーも全く変わるので、ハン・ガンという人の筆力の高さに慄いた。

この小説についてではないはなし。話は変わるけど、

「言語は壁」という小説を、今年翻訳してもらったものをjeonginは読んでくれていて、この小説を 勧めてくれたということは、翻訳は質感が伝わることとかも大事にしてくれたんだなと思って、訳者の方に改めて感謝したい。多言語を使っているとわかっていることだけど、言葉は道具にすぎなくて、質感や内容の展開をきちんと描くことによって、言語に依存せずに読者に伝えることができると思う。質感や内容の展開は、言語に依存して生まれるものなので、難しいけど、やることはシンプルだ。

ビブリア古書堂の事件手帖7

ビブリア古書堂の事件手帖7 ~栞子さんと果てない舞台~ (メディアワークス文庫)

ビブリア古書堂の事件手帖7 ~栞子さんと果てない舞台~ (メディアワークス文庫)

 recommended by りさちゃん ビブリア古書堂。通しでいつか読んでみたい。ヴェニスの商人等出てくるが、シェイクスピアありきの物語ではなく、あくまで栞子さんたちありき。嫌なことが続いてハラハラするのが苦手なのだけど、この本はハラハラが心地いい。すでに安定感のある主人公たちの関係だからかな。面白く読みました!シェイクスピアといえば、「ひとりシェイクスピア」という公演が大好きなのですが、そういう原点を思い出しましたよ。りさちゃんありがとう~

umi@uminimalist · 2018年12月5日

今日誕生日なのですが、良かったらおすすめの小説や本を教えてもらえると嬉しいです。洋書も嬉しい!

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中今 りさ@minimarisu

お誕生日おめでとうございます!全7巻と続きものなんですが、「ビブリア古書堂の事件手帖」面白いですよ♡久しぶりに読み返してどんどんページがめくられていきました(^^)/220:29 – 2018年12月5日Twitter広告の情報とプライバシー中今 りささんの他のツイートを見るTwitter広告の情報とプライバシー

町でいちばんの美女

町でいちばんの美女 (新潮文庫)

町でいちばんの美女 (新潮文庫)

recommend by 飯島モトハさん はじめのほうで結末はわかっていたものの、巻き戻っていくような、「なぜ死んではいけないのか?」という問いも残るような世界観だった。彼女は美貌無しでも受け入れられたいだけではなく、躯を壊していくことも受け入れられたかったのではないか。

ピエタ

([お]4-3)ピエタ (ポプラ文庫 日本文学)

([お]4-3)ピエタ (ポプラ文庫 日本文学)

📕「ピエタ」 recommended by Yuri Uemura ものがたりの始まりと終わりがきちんとつながり、入れ子状に伏線が回収されていくので、構成からしても読後に爽快感を与えており、清々しくさせてくれる。文体と舞台がマッチしている。「全てが取り返しがつかなくなってから」ストーリーが始まることも、素晴らしいと思った。よりよく生きる・・・、 (本と関係ない気持ちを書いても良いかしら?)私はこのような、「よりよく生きる」の世界観で生きてきたけど、自分の生真面目な性質が、誰かに「つまらない印象」を与えていないだろうかと恐れて、落ち込むことが多い。小説は、区切られた世界であり、秩序があるので、逃げ込むように読むことが出来て、とても助かった。このように、伏線のタネを世界中に撒くようにして生きていきたいな。

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